世界調査報道大会は調査報道記者やデータジャーナリストが集う世界最大の会議です。「権力悪スクープの世界博」とも呼ばれ、2001年以降、意欲あふれる世界中のメディア関係者総計7000人以上が参加してきました。
2年に1度だけ開催されるこの大会は、調査報道とデータジャーナリズムが世界的に急速な広がりを見せる中、重要な役割を果たしてきたとして広く認知されています。11回目となる今回は、ドイツ・ハンブルクで9月26~29日に開催予定で、少なくとも130か国から1000人以上のジャーナリストの参加を見込んでいます。開発途上国や経済成長にむけ移行期にある国の参加者には旅費の支援もあります。
ジャーナリストによるジャーナリストのための大会であり、実践的でレベルの高い取材手法に特化しているのが特徴です。講師陣は業界トップレベル。ピュリツァー賞など有名な賞の受賞者やデータジャーナリズムの第一人者、あらゆる権力の不正や乱用を暴いてきた怖いもの知らずの記者たちが揃っています。
プログラムの全容は後でご確認いただくこととして、ここに少しだけ内容をご紹介しましょう。
- 調査報道やデータジャーナリズムのあらゆる分野に及ぶ150以上の講座やワークショップ、討論
- データと徹底的に取り組む講座。データ分析、視覚化、マッピングから基本的な表計算やスクレイピング(ウェブからのデータ抽出)の方法まで、幅広く学ぶ多数のセッション。データを使った実験、ハウツーセミナーや、実践コーチなどもあります。
- 衛星画像の活用、ビデオ映像の解析、センサーの利用、潜入取材、モバイル技術などの専門家による講座
- 世界中の人物や企業、お金の動きをネット上で追跡、調査する新たな手法
- 環境や宗教、紛争、健康、犯罪、汚職を巡る取材における、国境を越えた連携、現地取材、裏付け方法などの最新情報
- さまざまなテーマをめぐってのネットワーキングと交流。ひらめきを得たり、連携したり、触発されたりする場となります。
- 事業としてこれからの時代を生き延びる戦略講座:新たなモデル、非営利方式、収益の多様化、フリーでやっていくためのコツ、寄付集めの助言など
- 放送向け講座:活字から映像への転身、ドキュメンタリー、ラジオやポッドキャストの調査報道番組
- 抑圧的政府から逃れるため外国で運営する亡命メディア、先住民族、のコミュニティなどからのジャーナリスト、政権の腐敗を調べる市民のための講座
- インターネット内外の嫌がらせからあなたを守る法律相談、デジタル安全相談、専門的なアドバイス
- 大学教員、研究者向けの学術講座 最新論文、最近の傾向や課題、優れた実践例に関する意見交換
そして、もちろん、すばらしいものがロビーやバーでの交流から生まれることもあります。もしかしたら、パナマ文書に続く計画が進行しているのを目にするかもしれませんよ。
今年の世界大会は世界調査報道ネットワーク、ドイツの調査報道記者組織「Netzwerk Recherche」、国際的な記者研修組織「Interlink Academy(インターリンク・アカデミー)」が主催します。詳しい情報は大会ウエブサイトをご覧ください。https://gijc2019.org